2012年2月定例会 詳細


◆十二番(権守幸男議員) 皆様、こんにちは。十二番、東八区、旧春日部市選出、公明党の権守幸男でございます。今回、本会議場に立って初めての質問でございます。

 

 初めに、本日は地元春日部から日頃より熱烈なる御支援、御声援をいただいております支持者の皆様、大変にお忙しいところ、また寒い中、県議会にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。私を県政に送り出していただきました感謝を胸に、愛する埼玉県民のために全力で取り組んでまいります。

 それでは、通告に従い質問をさせていただきます。

 

1.平成二十四年度予算案について

 初めに、平成二十四年度予算案について知事に伺います。

 

 来年度の予算案作成に当たり、県は昨年十月に、「埼玉から日本を元気に」をテーマに予算編成方針を決定しました。予算編成に当たり、基本方針として次の三点が掲げられました。一点目が日本再生・埼玉イニシアティブの着実な実行、二点目がゼロベースでの事業目的の設定を図ること、三点目が財政の健全性堅持となっています。したがって、今回の予算案は、これら三点を踏まえ、職員が英知を絞り、知事の英断の下に作成されたものと認識しています。二月十三日に行われた知事の記者会見やその後の新聞報道を通して、日本再生・埼玉イニシアティブの着実な実行に関する部分については、エコタウン、ウーマノミクス、健康長寿の三大公約に重点的に配分するなど、その内容はよく分かりました。

 

 しかし、二点目のゼロベースでの事業目的の設定についてはどのような努力が払われ、予算案に反映されたのかがよく分からないのが正直な実感です。また、三点目の財政の健全性堅持については、健全性を判断するための基準が何なのか、それがどのように達成されているのかを示す必要があると考えます。二十四年度一般会計予算の総額が前年度比〇・七パーセントのマイナスという緊縮予算の中では、これら二点について十分な配慮がなされたものと思います。

 

 そこで、伺います。まず、ゼロベースでの事業目的の設定について、どのように各事業をゼロベースから検討し、予算案に具体的に反映させたのかお聞きします。また、財政の健全性堅持についてですが、県債残高の適正な管理や事務事業の見直しによる徹底的なコスト縮減に努め、財政収支の改善を進めるとしていました。財政の健全性堅持についてどのように取り組んだのか、併せて知事に伺います。

 

2.被災者支援と基金について

 次に、被災者支援と基金について伺います。

 

 東日本大震災が発生してから間もなく一年が経過します。改めて、犠牲になりました皆様に哀悼の意を表しますとともに、避難している方々にお見舞いを申し上げます。復興元年の本年二月十日、公明党が国会で訴えてきた復興庁がやっと発足しましたが、余りにも遅過ぎる政府の対応に憤りを感じています。

 

 先日、私は、公明党県本部代表の西田実仁参議院議員、公明党加須市議団とともに旧騎西高校にお邪魔し、約三十人の双葉町民の方々と懇談する機会がありました。町民からは、「国は一体何を協議しているのか」、「私たちの生活を一変させた」、「一日も早く福島に帰りたい」などの声が寄せられました。食事など不便を感じながらの、大変つらく厳しい避難所生活が今も続いております。

 

 また、公明党県議団は先月中旬にも旧騎西高校を訪問し、井戸川町長と懇談するとともに、町民の皆様の生活の一端を見学させていただきました。昨年四月末、移動してこられた直後にもお邪魔しておりますが、当時、お風呂やシャワーといった水回りの設備やエアコンなどの生活上の支障について私たちに要望が寄せられましたが、その後県に改善をしていただき、生活環境は大分落ち着いてきたようでした。当初は一千二百人もの町民の方々が避難されておりましたが、小さなお子さんがいる家族をはじめ、借上住宅など外に出られる方は大方出てしまい、現在暮らしておられる町民は約五百人ほどです。ここにいられる以上は、孤立といった心配がありませんので、特に高齢者の方にとって、ある意味では安心できる場所のように見受けられました。私たちが訪問した際にも、食堂では近所の方が講師になり趣味の教室が開かれていました。多くのボランティアも訪れ、できることを協力し、励ましを送っているようです。

 

 井戸川町長との懇談では、冒頭、さいたまスーパーアリーナでの受入れに始まって、食事の提供、旧騎西高校での受入れ等々、県と地元の加須市に大変感謝している旨の発言がありました。そこで町長からは二つのお話をいただきました。

 

 一つ目は、避難者の最後のとりでとして、旧騎西高校を双葉町に限らず大災害があった場合に受け入れられる恒久的な避難所として位置付けてはどうかとの提案です。また二つ目は、被災自治体の長として、今回の教訓を生かし、災害対策のための基金創設に是非取り組みたい。それがあれば、いざというときに応急的に行う救助など必要な経費に充てられる。私たちの教訓に学んでほしいということでした。私も、井戸川町長の御提案に賛同します。

 

 そこで伺いますが、旧騎西高校の今後の在り方をどのように考えているのか。また、各都道府県には災害救助基金がありますが、大規模災害が発生した場合に災害救助法を弾力的に運用して、救助に充てられるようにするべきと考えますが、危機管理防災部長に伺います。

 

3.不育症の支援について

 次に、不育症の支援について伺います。

 

 不育症という言葉を初めて聞く方も多いかもしれません。最近は新聞などで不育症についての特集記事が掲載され、テレビでドキュメンタリー番組が放映されるなど、メディアでも徐々に取り上げられるようになってきましたが、いまだ多くの方に認知されていないため、妊娠に至らない不妊症とよく混同されてしまうのが実情です。不育症とは、妊娠しても流産、死産を繰り返してしまう、あるいは早期新生児死亡を二回以上繰り返す症例のことです。ある調査では、妊娠した方の一五パーセント程度が流産になると言われ、二回以上の流産経験がある方は四・二パーセントとされています。全国では推計で百四十万人の患者がおり、毎年約三万人が発症していると考えられています。

 

 厚労省の研究によると、不育症の原因としては、重複している方もいらっしゃいますので、合計が一〇〇パーセントを超えてしまいますが、血液凝固異常が二五パーセント、子宮形態異常が七・八パーセント、甲状腺機能異常が六・八パーセント、染色体異常が四・六パーセントとなっておりますが、残り六五・三パーセント、三人のうち二人は原因不明とのことです。不育症の原因が分からない場合、心のケアが一番と言われておりますし、治療すれば約八五パーセントの方が出産可能になるとも言われております。

 

 

周知について

 そこで、まず不育症の周知について伺います。

 

 御本人やその家族も、流産や死産は病気ではないと思って医療機関に相談しないケースがあります。不育症への関心と認識が高まるよう、不育症を知っていただくことが本県において一番最初の取組だと思います。不育症を広く知っていただくため、県のホームページで紹介したり産婦人科などの医療機関への周知が必要であると考えますが、保健医療部長の御所見を伺います。

 

 

相談体制の整備について

 次に、相談体制の整備について伺います。

 

  不育症では、妊娠した喜びもつかの間、一度宿った子供が亡くなってしまうことにより、母親として自責の念に駆られてしまいます。親や友人からの励ましも、かえって心を痛め、落ち込んでしまうことも大変多いようです。心のケア、心の支援が重要であると考えます。

 

 公明党県議団は、一月二十七日、不育症の相談を先進的に行っている岡山大学内にある岡山県不妊専門相談センター、不妊・不育とこころの相談室を視察してまいりました。センター長で岡山大学大学院保健学研究科の中塚幹也教授と相談室の担当者から、不育症の治療実態、相談状況などを教えていただきました。「不育症の女性が経験する妊娠の喜びから流産や死産の悲しみへの急激な気持ちの落ち込みは、ジェットコースターに例えられる。繰り返される流産と死産の経験は精神状態に影響を与え、強いストレスで鬱病を抱えている方も多い」、これは中塚教授の言葉です。

 

 現在、本県の不妊専門相談センターは埼玉医科大学総合医療センター内にありますが、国も平成二十四年度予算に不育症の専門相談員を不妊専門相談センター内に配置するための予算を計上しています。私は、不育症で悩む方から相談を受け、調べてみましたが、情報が少ないことに気づきました。専門医情報が少ないため、どこで検診や治療を受ければよいか分からない、これが実態です。だからこそ、専門医の把握や紹介、患者さんの精神的なサポートやカウンセリングができる相談体制の整備が必要であると考えます。そこで、専門相談員の配置について保健医療部長の御所見を伺います。

経済的支援について

 次に、経済的支援について伺います。

 

 不育症の治療には、保険適用外の自費診療が多く、通常の出産費用より五十万円ほど多くかかってしまいます。このように不育症患者が非常に高額な治療費の負担を強いられているため、不育症治療に助成する自治体も出始めました。全国二十市町村で実施していますが、まだ少ないのが現状です。

 

 公明党県議団は、一月二十五日、全国に先駆けて不育症治療費の助成制度を創設した岡山県真庭市を視察し、担当者より助成制度の創設に至った経緯について詳しく教えていただきました。担当者の方は、当時、不育症の治療を受けている方から、精神的にも経済的にも大きな負担を抱えながらの日々であると涙ながらに切実な訴えをお聞きした。早速、岡山県の不妊専門相談センター、不妊・不育とこころの相談室へ連絡をとり、不育症の研修会にも参加して、不育症の原因や治療方法、治療費が非常に高額であるなど、実態が分かってくればくるほど、助けられる命であるならば何としても助成制度の創設に結び付けなければと思ったそうです。苦しんでいる市民の悩みに寄り添って対応した職員のこの情熱が伝わってこないでしょうか。この職員の情熱が執行部を動かし、結果的に市長の心を動かしました。こうして温かい支援制度の創設につながりました。真庭市では現在、専門の医療機関で不育症の診断を受け、治療されている方に、保険適用外の治療費助成として年三十万円を限度に実施しています。平成二十三年四月一日からは、第一子だけでなく第二子以降の方も対象としています。こういった取組は、単に真庭市など全国二十の自治体にとどまらせてはならないと考えています。誰もが子供を産み育てることに喜びを感じられる社会を実現していくためには、不育症で苦しむ全国の多くの女性を経済的にも支援していくべきだと考えますが、保健医療部長の御所見を伺います。

 

4.被災地支援に高校生の若い力を

 次に、被災地支援に高校生の若い力をについて伺います。

 

 本県では、今年度被災地に赴いて任意でボランティアに取り組んだ学校及び生徒数は六校、延べ二百四十一人、そのほか避難所などでの特色あるボランティア活動に取り組んだ学校及び生徒数は四校、延べ二百六十二人の活動例を伺っております。私は、そのうちボランティアに参加した県立上尾橘高等学校の東北支援ボランティア事業活動報告書を読ませていただきました。県立上尾橘高等学校の生徒三十六人が、東日本大震災現地でのボランティア活動を通して得た支え合う心や人とのきずななどが生き生きとつづられ、引率した先生からは、被災地を生で見て、感じて、聞いてという体験をすることは決定的に重要であるという報告があり、熱い思いが伝わってきました。未来を担う高校生にとって、被災地でのボランティア経験が生かされないはずはありません。

 

 一方、兵庫県では、平成十七年度より全ての県立高等学校の一年生を対象とした「高校生地域貢献事業~トライやる・ワーク」を実施しています。この事業は、平成十六年激甚災害に指定された台風二十三号による風水害が発生した際、兵庫県立高等学校の生徒約一万人が被災地でボランティア活動をしたのをきっかけに始まりました。トライやる・ワークには、環境保全活動やまちづくり推進活動など七分野の取組があり、その七分野の中には、既に災害復旧ボランティア活動が含まれているのが特徴です。この中からクラス単位、グループ単位による地域社会の発展に結び付く学校独自の取組や、複数校による共同企画でテーマを決めて取り組みます。平成二十一年度までの五年間で、参加生徒数で延べ約九万人の高校生が参加しており、大変感動を呼んでおります。特に今年度は東日本大震災による被災地支援のため、五十校八百人が災害復旧ボランティア活動に参加しました。今年一月二十八日に行われた発表会では、県立西脇北高等学校の生徒三十八人が東日本大震災現地でのボランティア活動を通して得た、人とつながることの喜びを発表しました。市長からは、西脇市の誇りとお褒めの言葉をいただいたそうです。兵庫県は、阪神・淡路大震災の被災県として、被災の教訓から助け合いの精神が強く、地域と共生する機運が定着しております。

 

 本県においては、平成二十年度から埼玉の子ども七十万人体験活動の中で、社会奉仕体験などを通して思いやりの心や規範意識などの向上を目指すボランティアチャレンジプロジェクトの推進を行っておりますが、対象校はわずか二十校です。大震災後の今だからこそ、本県でもこれをきっかけにして、ボランティアチャレンジプロジェクトなどに被災地での災害復旧ボランティア活動を取り入れ、更により多くの高校生が災害復旧ボランティア活動に参加できる仕組みを是非ともつくるべきと考えますが、教育長の御所見を伺います。

 

5.アレルギー性疾患の対策について

 次に、アレルギー性疾患の対策について伺います。

 

 またむずがゆくなる季節がやってまいりました。気管支ぜん息、アレルギー性鼻炎、花粉症、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、今や全人口の約二人に一人が何らかのアレルギー性疾患を患っていると推定されており、国民病とも言われております。厚労省の平成二十一年人口動態統計によると、アレルギー性疾患に関連した死亡者数は二千百九十人で、そのうち、ぜん息による死亡は二千百三十九人、スズメバチなどとの接触による死亡は十三人、食物アレルギーによるアナフィラキシーショックによる死亡は四人でした。このうち、アナフィラキシーによるショック症状は学校給食においても発生し、命取りになるほど大変危険な状態になることが知られています。

 

 昨年三月、厚労省から、保育所におけるアレルギー対応ガイドラインが公表されました。これを受け、全国各地で保育所の職員向けに、ぜん息やアトピー性皮膚炎などの子供への対応や、食物アレルギーによるアナフィラキシーショックを和らげるアドレナリン自己注射「エピペン」の使い方の研修会が行われております。

 

 また、昨年八月三十一日、厚労省から「アレルギー疾患対策の方向性等」という指針が示されました。その内容を見ますと、地方自治体の役割として、診療ガイドラインなどの普及、適切な地域医療の確保、アレルギー疾患に係る情報提供、適切な自己管理の手法に係る情報提供、相談体制の確保、保健所などにおける取組が示されております。そこで、この指針を受け、本県においてもアレルギー性疾患対策にどのように取り組んでいかれるのか、保健医療部長に伺います。

 

6.AEDについて

 次に、AED自動体外式除細動器について伺います。

 

 本県では、平成十八年から埼玉県AED普及推進計画に沿ってAEDを普及推進してきた結果、本年一月末現在、県内のAED設置台数が県有施設など公共施設に四千六百八十四台、民間施設に五千六十台の、合計九千七百四十四台となっております。また、県のホームページには、県東部の県立高校で体育の授業中に生徒が心肺停止状態となりましたが、AEDを使用して意識を回復できた使用事例も紹介されています。私は、AEDをこれまで様々な場所に設置してきたからこそ、緊急時にAEDの使用により大切な命が救われたと認識しています。

 

 県の推進計画を見ると、当初の設置目標は八千五百台で、平成二十二年には既に目標を達成しておりますが、今後も引き続き設置普及が必要であると考えます。去る十二月定例会において、自民党の須賀議員から、コンビニへのAEDの設置を求める質問がなされましたが、引き続きコンビニへの設置の依頼をお願いするとともに、公共施設や民間施設への設置数は十分であるのか、また今後の設置計画について、どのような施設に優先的に設置するお考えなのか、保健医療部長に伺います。また、AED設置後には小まめな点検や耐用年数期限ごとの更新が必要となります。AEDの電極パッドやバッテリーの交換などの保守管理や更新についてどのような取組を実施しているのでしょうか、併せて保健医療部長の御所見を伺います。

 

7.発達障がい児・者の支援について

 次に、発達障がい児・者の支援について伺います。

 本県では、発達障がい児の早期発見、早期支援のために、発達支援マネージャーや発達支援サポーターの育成、保育所などの職員向けの支援サポーター研修の実施、ガイドブックやリーフレットの配布、サポート手帳の活用など、保健と福祉と医療が連携する体制が整いつつあります。

 

 まず、早期発見後の支援体制、診療、療育の体制づくりについて伺います。

 

 本県における中核発達支援センターは、従来からある重症心身障害児施設を活用して、診療、療育の拠点として整備がスタートしたところです。去る一月三十日、私の所属する少子・高齢福祉社会対策特別委員会で、中核発達支援センターの一つである重症心身障害児施設、中川の郷療育センターを視察してまいりました。献身的に取り組むスタッフの様子を目の当たりにし、大変感動いたしました。施設長からは、詳細かつ丁寧な御説明がありました。県内では、療育施設、スタッフともに絶対数が不足しており、個別及び集団訓練ができる施設整備が急務であること。また、医療、教育、療育、福祉スタッフそれぞれの資質の向上が必要であるとおっしゃっておりました。私も、このような施設が各地域で中心となって取り組むことが重要であると考えます。県は、来年度の発達障がい児・者への取組として、県障害者支援計画の推進に基づき、中核発達支援センターを新たに一か所、個別療育施設を県内四か所で実施するとありますが、具体的にどのように取り組まれるのでしょうか、福祉部長に伺います。

 

 また、発達障害においては、成人期の支援も大変重要です。平成二十三年度から新たな成人期支援の取組として、発達障がい者の職業適性を見る就労準備アセスメントの実施、就労に関わる企業など事業所等訪問支援がスタートしました。昨年十二月までの実績ですが、就労準備アセスメントの実施に関しては、実支援者数十一人、延べ支援件数として四十一件、事業所等訪問支援に関しては、実施回数四十二回、延べ支援件数四十二件となっております。私は、この取組を更に拡充するべきだと思います。成人期の就労支援においてどのような目標を立て、今後取り組んでいかれるのか、福祉部長に伺います。

 

8.振り込め詐欺対策について

 次に、振り込め詐欺対策について伺います。

 

 連日、振り込め詐欺被害に関する事件が新聞やテレビで報道されております。県警振り込め詐欺総合対策本部のまとめによりますと、昨年一年間の被害額は十四億七百二十万円で、前年比一・七倍、認知件数は前年より十六件増の五百八十一件で、一件当たりの被害が高額化し、一千万円以上の被害は十九件に上っております。更に被害は拡大を続けており、深刻な状況であります。昨年七月には、県内にお住まいの八十五歳の女性が、長男を装った男の電話で現金約四千万円をだまし取られる詐欺の被害に遭ったとの報道がありました。このように高齢者の方が自分の息子と信じた結果、だまし取られていることを思うと、こんな許せない、悔しいことはありません。本県では、高齢者への注意喚起や金融機関窓口での水際対策を徹底し、だまされたふり作戦や留守番電話作戦など様々な防止対策に取り組んでおりますが、大きな成果を上げるまでには至っておりません。

 

 他県に目を向けると、警視庁では、振り込め詐欺犯は声を録音されるのを嫌がる点に着目し、被害の多い地域を選び、高齢者を中心に約一万台の録音機の無料貸し出しを検討していると伺っております。本県では昨年度から、防止対策の一つとして、振り込め詐欺被害抑止の注意を直接呼び掛けるコールセンター事業を行っておりますが、この効果と今後について警察本部長に伺います。

 

9.自転車総合対策について

 次に、自転車総合対策について伺います。

 

 本県は、一人当たりの自転車保有台数が〇・七六台と全国一位の自転車王国です。東日本大震災後、通勤などでも自転車を利用する方が増え、今後もより一層の利用者増が見込まれます。本県の自転車に係る事故は、昨年一年間で一万一千九百三十二件発生しております。十年前と比較して、事故全体の総数は大幅に減少しているものの、自転車同士の事故については増加しております。県では、昨年十二月定例会で埼玉県自転車の安全な利用の促進に関する条例を制定しましたが、今後この条例をどのように展開していくのでしょうか。自転車王国として、自動車運転者、自転車利用者、歩行者の三者共存のムーブメントを起こすために、イベント誘致などを行ってもよいかと考えますがいかがでしょうか、県民生活部長に伺います。

 

 また、警察庁は昨年十月、自転車交通秩序の実現のための総合対策を打ち出しました。自転車は車両であり、車道を通行するルールを改めて確認したことにより、自転車利用者に混乱を招いております。さらに、推進すべき対策の一つ目は自転車通行環境の確立となっており、自転車専用の走行空間の整備と、自転車と歩行者との分離を求めております。また、二つ目は自転車利用者へのルールの周知と安全教育の推進、三つ目は自転車に対する指導取締りの強化との三本柱になっております。これら自転車総合対策に対し、警視庁では、車道が危険な場合は徐行して歩道を通行できるとの見解を示しましたが、この総合対策に対する埼玉県警察としての見解を警察本部長に伺います。

 

 併せて、自転車通行環境の確立について伺います。

 

 歩道を自転車一方通行規制にする動きが出始めております。神奈川県警は、昨年一月十日から三十一日の三週間、特に通勤通学で混雑する交通量の多い午前七時から九時の時間を区切って、歩道上を走行できる相模原市内の市道約四百六十メートル区間を自転車の走行を一方通行とする社会実験を行いました。さらに、静岡県警では、今月中旬から静岡市内の一部区間の歩道において、全国初の自転車一方通行規制を導入しております。本県でも自転車通行環境を確立するため、静岡県のような独自ルールを策定するお考えはあるのでしょうか、警察本部長の御所見を伺います。

 

10.地元問題について

「新たな森」について

 次に、地元問題についてのうち、まず「新たな森」について伺います。

 

 先月一月二十五日、県が進めているみどりの再生事業に基づき、春日部市大増新田地域に二十ヘクタール、東京ドーム四・二個分規模の「新たな森」を県営公園として整備すると発表がありました。地元春日部市民は、この発表に今から、どんな公園ができるのかを大いに期待しているところです。「新たな森」のコンセプトは「ふれあいの森」、目指す姿は、みどり再生のシンボルとなる森、地域の防災力を高める森、多世代が交流できる森、県民参画による環境教育の場としての森、県南東部の地域特性を生かした森とのことです。是非とも地元市民、県民の皆様に喜ばれる公園にと考えますが、今後の予定と市民、県民からの意見が反映できる工夫、また、五つある目指す姿をどのように具体化していくのか、都市整備部長に伺います。

 

県道西金野井春日部線の整備について

 最後に、県道西金野井春日部線の整備について伺います。

 

 県道西金野井春日部線は、春日部市街から国道一六号に接続する道路として交通量も多く、牛島交差点から下柳西交差点までの歩道が整備されておりません。また、近隣の県立高校の通学路にもなっており、朝夕は生徒と行き交う車で大変危険です。先日、ある総合スーパーが国道一六号と国道四号バイパスが交差する春日部市下柳地域に市内最大級のショッピングモールを来年度下期に出店する計画であるとの発表がありました。完成すれば交通量が増えることが推測され、更に危険が増すと予想されております。このため、私は一日も早く牛島交差点から下柳西交差点までの歩道の整備が必要であると考えます。また、牛島交差点から下柳西交差点までの区間にある新幸松橋の架換えの予定も伺っておりますが、併せてその進捗状況と今後の予定を県土整備部長に伺います。

 

 質問は以上です。御清聴、誠にありがとうございました。

 


答弁

◎上田清司知事 権守幸男議員の質問にお答えいたします。

 

 まず、平成二十四年度予算案についてのお尋ねのうち、予算編成方針において掲げられたゼロベースでの事業目的の設定についてどのように検討し、予算案に反映させたかについてでございます。

 

 行政は、安定性や継続性が求められますので、どうかすると、それが前例踏襲につながっていくという場合がございます。そのため、所期の目的が達成済みであったり、また効果が薄れている場合でも、従来の予算額をそのまま確保したいという、そういう傾向があります。また、新たな課題に対して、原因分析や事業本来の目的を詰め切らないままに、単に予算で解決しようとする傾向があることも事実だと思っています。

 

 しかし、予算そのものは目的を達成する一つの手段にしか過ぎないと、こういう考え方に立てば、正に予算編成の中で全ての事務事業というのは、予算で解決するのではなくて、全体として解決できるような、そういう見方をしたらどうだという考え方から再確認をしていくという作業で対応を検討しました。

 

 例えば、中小企業の制度融資の利子補給でございます。これは利用者、つまり中小企業者にとってみれば、利子補給の利率が高ければ高いほどありがたい話になりますね。しかし、その分だけ県が利子を補給するわけですから、負担をいたします。つまり、これは県民的に言うと、一部の事業者のために県民が税負担をするということになりますので、利子補給をしたいけれども、それをしない方法で同じような効果がないかとすれば、逆に、金融機関に利率を下げていただく方法をとれば利子補給と同じ結果になって、なおかつ県の支出は要らないという、こういう方法が考えられて、思い切って相談をした。一つはデフレであることとか、あるいはいろんな意味で県の金融機関が比較的業績が好調であることとか、そして埼玉県の企業家の皆さんたちが比較的、他の県に比べれば積極的な意欲があることなどを考えて、〇・一パーセント利率を下げていただいたと。そうすると、金額でいうと対象となる融資資金が二千五百億円ということになりますので、一年間で県とすればですね、この〇・一パーセント利子補給をするとなると、二・五億円の予算が要るということですが、これが要らずに済んだとこういうことになるんですが、正に一般論とすれば、皆さん厳しいので、〇・一パーセントでも利率を下げることはできないけれども、利子を補給すれば楽じゃないかと、そこを金利を下げていただくという作業でカバーしたということでございます。今までであったら、どちらかというと利子補給をして助けたいというところだったんですが、そういうことをしなかったということです。

 

 あるいは地方庁舎で、あるいは駅前道路なんかで何らかの形で緑化事業というのをやっております。正に、彩の国みどりの基金を活用した緑化事業をやっておりますが、この部分でも考えてみれば、ある意味ではネームプレートを出すことで建物の外構などは、ベンチとか樹木とかは全部県民に出してもらったり企業に出してもらってもいいじゃないかという発想に切り替えることで、外構部分での県の支出を実質的にほとんどなくしてしまうというような発想で今後はやっていこうということで、今年度の予算からはそういう部分を減らすと。先ほどお話しにもございました春日部地区での「新たな森」の話にしてもですね、基本的な公共事業というんでしょうか、土木工事だとかそういうのはやるにしても、全てとは言いませんが、場合によっては幾つかの部門で、ベンチだとかですね、あるいは樹木は県民の皆さんにお願いをすると、ネームプレートをつけて、これは私の木だと、私が寄附をした樹木だとか、私が提供した、あるいは我々の企業が提供したベンチだとか、そういう形でつくっていこうというような、そういう予算の組み方などもさせていただいたところでございます。こうして事業目的に合わせて、できるだけゼロベースで予算案をつくってきたところでもございます。

 

 次に、財政の健全性堅持についてどのように取り組んだかでございますが、昨年の十月の予算編成方針策定の時点では、一般財源の収支不足額を一千百八十三億円と見込み、財源不足への対応が大きな課題になりました。歳入の大幅な増加が見込まれないと考えておりましたので、経費の縮減もしなければならないと。しかし、何かで特別に大きな縮減ができるような分野というのは意外にないのも事実でございますので、そのため全ての事業において、必要性、効果などを根本的に立ち返って厳しく精査をしました。

 その上で、予算編成の過程で社会保障関係費などの義務的な経費を除いた事業で、例えば一定程度の圧縮を図りました。仮に一〇パーセントなら一〇パーセントのキャップをつけるとかですね、ものによってまた違うんですけれども、その上で県民サービスを低下させることのないような形での、職員定数や管理職手当など県庁の組織体制や県職員の人件費の見直しも行いました。最終的には、財政調整のための基金を五百二十四億円活用せざるを得ませんでしたが、基金の取り崩しで言えば、対前年度比で十八億円減少させたこともございます。

 

 また、県でコントロールできる県債については、引き続き可能な限り発行額を抑制し、県債発行額を対前年度比で十五億円、〇・五パーセント減の二千九百九十二億円にしております。このように平成二十四年度予算においても財政の健全化に取り組んでおりますが、通算で言えば、私、九回目の予算編成になるんですが、約一〇パーセント、県がコントロールする県債は、就任時に比べると減っております、総額でですね。

 さらに、これまでの改革効果というのが県費の支出を減らすことになっています。例えば出資法人改革の成果として、埼玉高速鉄道では平成十五年度決算で一千五百三十二億円あった有利子負債を、平成二十二年度決算では一千二百七十五億円まで減らしておりますので、二百五十七億円、約三百億円の有利子負債を減らしています。もしこれが赤字続きであればですね、何らかの形でショートしますので、場合によっては一般会計から補填をせざるを得ないような形になりかねないことを防いでおるということも、県の支出を減らすことになっています。

 

 浦和競馬でも、平成十六年度決算では累積赤字が二十三億一千万円ありましたが、平成二十一年度決算では累積赤字を全て解消して、六千百五十万円の黒字を出して、平成二十二年度は県とさいたま市に合わせて一億五千万円の配当をすることができました。これらも、もし赤字続きだから浦和競馬をやめようという話になれば、精算をするときに膨大な赤字の部分を一般会計から補填をし、その上に様々な清算金を支出せざるを得ないという、こういうことも防いでいるからこそ、正に支出を防いで財政の健全化ができているのではないかというふうに思っております。

 

 厳しい予算編成ですけれども、財政の健全性を守りながら、また限りある財源を効果的、効率的に使いながら、予算編成が最小限度できたのではないかというふうに思っているところでございます。

 

◎吉野淳一危機管理防災部長 御質問二、被災者支援と基金についてお答えを申し上げます。

 

 まず、旧騎西高校の今後の在り方についてでございます。

 

 旧騎西高校では、当初一千四百人を超える双葉町の住民を受け入れるとともに役場機能も移転するという、これまでにない避難所運営が行われ、現在でも五百七十二人の方が生活しています。県では、これまで地元加須市と協力して、双葉町の方が少しでも快適な避難生活が送れるよう、エアコンや仮設の風呂、さらに駐車場や下水道の整備などに取り組んできました。今後、東日本大震災のような広域的災害が新たに発生した場合、県域を越えて多数の被災者が避難してくることが考えられます。こうしたことから、旧騎西高校の避難所としての役割が終わった時点で、今回の整備を生かした防災拠点としての活用の可能性について検討をしてまいります。

 

 次に、大規模災害時に災害救助法を弾力的に運用し、災害救助基金を救助に充てられるようにすべきについてでございます。

 

 災害救助法に基づく救助は、救助の期間や国へ求償できる救助費用の上限など国が定めた基準により実施されます。東日本大震災では広域かつ甚大な被害が発生したことから、被災県は国と協議し、災害救助法の弾力的な運用を実施してきました。例えば応急仮設住宅の代替施設として、公営住宅、民間賃貸住宅が認められておりますけれども、これらにエアコン、ガスコンロなどを設置する費用が災害救助法の対象となりました。

 しかし、今回の弾力的な運用については、国の決定が遅れ、さらに五月雨式に示されたため、避難者を受け入れた多くの都道府県で取扱いに混乱が生じました。大規模な災害が発生した場合には、被災者の救援、救助を迅速に行うことが何よりも大切ですので、都道府県が被害の規模や救助の必要に応じ一定の範囲で弾力的な運用ができるよう、国に要望をしてまいります。

 

 また、災害救助基金は災害救助法を適用した場合の救助の原資となるもので、都道府県は基金の積み立てが義務付けられています。しかし、災害救助法はあくまで自分の県の被災者の救助を前提としているため、本県が行っている旧騎西高校の双葉町民への支援には本県の災害救助基金は活用できません。他県からの被災者にも受け入れた都道府県の災害救助基金が活用できれば、より迅速に被災者の支援ができますので、このことについても国に要望をしてまいります。

 

◎降田宏保健医療部長 御質問三、不育症の支援についてお答えを申し上げます。

 

 まず、(一)周知についてでございます。

 

 不育症についての研究は始まったばかりで、最近まで産婦人科の医師の間でも病気としての定義や治療方針は統一されておりませんでした。そこで、国は平成二十年度に研究班を設置し、平成二十三年度には不育症の定義や検査、治療方針、さらには心のケアの必要性などについて提言をまとめ、全国の産婦人科のある病院、診療所に周知をいたしました。

 県では本年、研究班の班長である富山大学の齊藤滋教授を講師として、保健所や保健センターの保健師等を対象に研修を行いました。さらに、県のホームページで情報提供を行い、周知に努めております。今後も不育症の周知に努めてまいります。

 

 次に、(二)相談体制の整備についてでございます。

 

 県の不妊専門相談センターでは、専門医が不育症の相談を受けております。国は、来年度から不育症専門の相談員の設置に補助をすることとしておりますが、具体的な内容は決まっておりません。決まり次第、検討してまいります。

 

 次に、(三)経済的支援についてでございます。

 

 不育症の治療につきましては、原因が分かって治療方法が明確な場合は保険が適用されます。しかし、多くの場合、原因が分かりません。県といたしましては、一人でも多くの方が保険による治療を受けることができるよう、研究班において早期に原因を究明し、有効な治療方法を確立していただけるよう国に要望をしてまいります。

 

 次に、御質問五、アレルギー性疾患の対策についてお答えを申し上げます。

 

 アレルギー性疾患の患者が、それぞれの地域において疾患に応じた医療を受けられるようにするためには、かかりつけ医などに国の診療ガイドラインなどの標準的治療を普及することが大切でございます。このため、県では各保健所が開催する地域保健医療協議会などを通じ、地域の医師会や市町村などと連携を図りながら、その普及を進めております。また、県のホームページでは、アレルギー科のある医療機関や診療日などの情報提供を行っており、今後もその充実に努めてまいります。

 

 一方、患者が安心して生活するには、食べ物や住環境、緊急時の対処方法など自己管理に関わる情報提供が重要でございます。県では、患者や家族に対する講演会や保育所の職員、小中学校の養護教諭などを対象とした研修会を開催しており、自己管理の手法や緊急時に注射をするエピペンの使用方法などの情報提供に引き続き努めてまいります。このほか、県内の各保健所においてアレルギー全般に関する相談に応じており、食品のアレルギー物質の表示や製品検査についての監視指導も行っております。県といたしましては、患者や家族が安心して生活できるよう、今後ともアレルギー性疾患対策を推進してまいります。

 

 次に、御質問六、AEDについてお答えを申し上げます。

 

 県では、多くの県民が利用する施設やスポーツ施設などへのAEDの設置を積極的に推進してまいりました。本年一月末の県内設置登録数は九千七百四十四台となっております。しかし、乗降客の多い駅やスポーツ施設などの中には、まだ設置されていない施設もございます。このため県といたしましては、これらの施設やコンビニに対し、引き続き設置を働き掛けてまいります。

 

 また、設置されたAEDがいざというときに確実に機能するためには、日頃の保守管理が重要でございます。県では、AEDを設置していただくに当たり、設置者に保守管理や更新の重要性について周知を図るとともに、耐用年数を迎えたAEDにつきましては個々に連絡をし、更新を促しております。今後ともAEDの設置を促進するとともに、保守管理や更新の徹底を図ってまいります。

 

◎前島富雄教育長 御質問四、被災地支援に高校生の若い力をについてお答えを申し上げます。

 

 東日本大震災から間もなく一年になります。被災地の一日も早い復興を心から願っております。

 

 本県でも、幾つかの高校が実際に現地に赴き、がれきの撤去や整地作業など様々なボランティア活動を行ってまいりました。議員お話しの上尾橘高校の生徒からは、被災地でのボランティア活動を行った三日後に、現地での様子について報告がありました。現地で撮影した写真を見ながら、泥だらけになって民家のがれきを撤去したこと、作業はつらく大変だったが、達成感も大きかったことなどを、生き生きとした表情で語ってくれました。自らの意思で汗を流し、一所懸命に働く生徒の姿、またその純粋な思いに、私も大いに感動いたしました。このような経験は、人間性を高める上でも大きな教育的意義があると考えます。

 被災地での支援のほかにも、避難所となっている旧騎西高校において肩もみを行ったり、被災地の幼稚園の子供たちに手作りのはんてんをプレゼントしたりという活動を行っている学校もあります。さらに、昨年十一月に実施された専門高校生の学習成果の発表の場である埼玉県産業教育フェアでは、生徒の発案により、東北地方の高校生による開発商品の販売や募金活動なども行いました。

 

 議員御指摘のボランティアチャレンジプロジェクトの事業は、高校生が自らボランティア活動を企画し、社会奉仕活動等を行うことにより、社会性や豊かな人間性の育成を図るものであります。今後は、この事業のメニューの一つとして被災地ボランティアを取り入れることを学校に働き掛け、多くの高校生が参加できるよう努めてまいります。

 

 

◎荒井幸弘福祉部長 御質問七、発達障がい児・者の支援についてお答えを申し上げます。

 

 まず、具体的にどのように取り組むのかについてでございます。

 

 発達障がい児・者への支援については、今年度就学前の支援に力を入れ、啓発や人材の育成、親支援を実施したところ、発達障害に対する認識が高まり、早期発見が促進されることになりました。

 

 一方で、これに伴い診療や療育を受けたいという親も増え、これらの需要が一層拡大をいたしております。そこで、診療から療育までの一貫した対応ができる受入機関として、今年度二か所開設した中核発達支援センターを、地理的バランスを考え県北地域に新たに一か所整備をいたします。さらに、身近な地域で療育を受けられるよう、障害児通所施設を活用して県内東西南北の四か所で療育のモデル事業を実施したいと考えております。この施設では、医療機関で診断を受けた子供に対して、臨床心理士、作業療法士などが発達障害の特性に応じた療育を行ってまいります。また、療育の実施に合わせて、親を対象に療育指導や子育て教室を開催するとともに、市町村の保健師などが実践的に療育を学ぶ場としても活用してまいります。県では、モデル事業の成果を他の市町村にも広げ、中核発達支援センターと相まって、全ての市町村で療育が受けられる体制づくりを進めてまいります。

 

 次に、発達障がい者の成人期の就労支援についてでございます。

 

 発達障がい者は、言葉に出せない暗黙の社会ルールが分からなかったり、得手、不得手が極端なため仕事で失敗を重ね、就職しても続かず、転職を繰り返すことも少なくありません。県が指定する発達障がい児・者のための総合的支援センターである「まほろば」においても、最近、就労支援に関する相談が多くなっており、議員御指摘のとおり、平成二十三年度から成人期の就労支援に力を入れております。「まほろば」では、就労を希望する発達障害の方に、本人の得意な部分、苦手な部分を理解していただいた上で、その人に合った就労に結び付けられるよう個別支援を実施しております。また、「まほろば」の職員が企業や就労支援事業所などからの要請に基づき直接訪問し、助言も行っております。その結果、本人の特性に合った就労に結び付いたり、職場に適応して就労が継続できているとの成果が出ていると伺っております。

 

 そこで、平成二十四年度は、「まほろば」が実施している就労支援のノウハウを全県に広めてまいりたいと考えております。そのための研修を十か所の就業・生活支援センターや市町村障害者就労支援センターなどの職員を対象に新たに実施をしてまいります。発達障がい者が特性に応じた就労支援をより身近なところで受けられるよう、体制を整えてまいります。県といたしましては、地域の就労支援機関における支援の充実を図り、発達障がい者が就労しやすい社会づくりに努めてまいります。

 

 

◎横山雅之警察本部長 御質問八、振り込め詐欺対策についてお答えを申し上げます。

 

 まず、昨年中の振り込め詐欺被害の認知件数は五百八十一件、被害総額では約十四億七百二十万円と、前年と比較して件数でプラス十六件、金額では約五億八千万円の大幅な増加となっており、大変厳しい状況であります。昨年の検挙状況につきましては、県民の御協力をいただき、いわゆるだまされたふり作戦を推進するなど対策を強化した結果、現金を取りに来た受け子など本犯被疑者については、前年と比べ四十六人増の七十五人を検挙するとともに、携帯電話や預貯金通帳などの犯行道具を提供する助長犯罪で二百四十二人を検挙しており、全国的に見て上位の検挙実績を上げたところであります。

 

 御質問のコールセンター事業についてでありますが、この事業は民間に委託し、個々の御家庭に対して電話による注意喚起を実施するものであります。平成二十三年度は、五月から五人体制でスタートし、九月からは二十七人体制に増強した上で、昨年十二月末までに約十七万世帯の県民の皆様に振り込め詐欺に対する注意を呼び掛けたところであります。コールセンターから注意の呼び掛けを受けたおかげで、不審な電話を受けたものの被害に遭わずに済んだという感謝の声を数多くいただいております。こうした効果を踏まえ、二十四年度も同規模の体制でコールセンターによる注意喚起を継続実施してまいりたいと考えております。

 

 このほかにも県警察では、振り込め詐欺の被害防止対策として留守番電話作戦の呼び掛け、オレオレ詐欺撃退チェックシートの配布等を行うとともに、県内の全金融機関に対し、水際防止の更なる強化についてお願いをしているところであります。県警察では、引き続き振り込め詐欺の撲滅に向け、検挙活動と被害の未然防止対策を強化してまいります。

 

 次に、御質問九、自転車総合対策についてお答え申し上げます。

 

 まず、自転車総合対策に対する見解についてであります。

 

 議員御説明のとおり、昨年十月、警察庁から「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」の通達が発出されましたが、その背景には、自転車利用者のルール・マナー違反に対する国民の批判が後を絶たず、歩行者との衝突事故も多発していることなどがあります。通達の一点目は、自転車の通行環境の確立で、自転車と歩行者双方の安全を確保するため、自転車の走行環境を整備することであります。二点目は、ルールの周知と安全教育の推進で、自転車が車両であることから、左側通行など正しい通行ルールの徹底を図ることであります。三点目は、自転車に対する指導取締りの強化で、悪質、危険な交通違反に対しては、交通切符を適用した検挙措置を講ずるなど、厳正に対処するというものであります。

 

 議員御指摘の、車道が危険な場合、徐行して歩道を通行できるとの点についてでありますが、道路交通法では、子供や高齢者等は歩道を通行することができるほか、車道通行が危険であると認められる場合については歩道を徐行して通行することができると規定されており、引き続き法令の適切な運用と指導に努めてまいります。

 

 県警察では、本通達に先駆け、昨年四月から自転車の総合対策を推進し、その結果、昨年の自転車事故につきましては、死者数、負傷者数、人身事故件数、いずれも大きく減少したところでありますが、本年も自転車通行の安全確保に向けた対策を強力に推進してまいります。

 

 次に、自転車通行環境を確立するための独自ルールの策定についてであります。

 

 通達を踏まえ、県警察では県内道路における自転車の走行環境について改めて調査を行ったところでありますが、今後自転車と歩行者の通行の安全確保を図るため、自転車専用レーンの設定や自転車の歩道通行可の交通規制の見直しを行うこととしており、そうした中で歩道上の一方通行等の規制についても検討することとしております。自転車通行環境の整備については、地域住民の御意見も踏まえながら、道路管理者等関係機関と連携し、整備を着実に推進してまいります。

 

 

◎土屋綱男県民生活部長 御質問九、自転車総合対策についてお答えを申し上げます。

 

 まず、自転車安全利用促進条例の展開についてでございます。

 

 自転車の安全利用を促進し、自転車事故を防止するためには、市町村との連携はもとより、関係団体や自転車販売店など事業者の皆様の協力が不可欠です。そこで、現在、条例の施行日である本年四月一日に向け、市町村、学校、交通関係団体など関係するあらゆる団体に対しまして、御理解と御協力が得られるよう条例の趣旨や内容についてきめ細かく説明をしているところでございます。

 

 一方、各地域での活動は、住民に身近な市町村を中心に取り組んでいただく必要がございます。そのため、その中核となって活動していただく自転車安全利用指導員を委嘱するため、市町村の協力をいただきながら、その手続を進めているところでございます。条例が施行される四月以降は、毎月十日の自転車安全利用の日を中心に、自転車安全利用キャンペーンを県内各地で実施してまいります。特に五月には、九都県市連携による自転車マナーアップ強化月間の共同キャンペーンを一斉に実施する予定です。また、自転車事故が多発する市町村を重点推進市町村に選定し、スタントマンによる事故の実演など、自転車の死亡事故ゼロを目指した対策を集中的に実施し、その効果を検証の上、他の市町村にも広げてまいります。

 

 イベント誘致につきましては、これまでも交通安全フェアやサイクリングフェスティバルなど様々なイベントを実施してまいりました。今後は、これらのイベントの内容を見直し、自転車のルールやマナーの啓発活動を強化するなど、自転車安全利用の県民ムーブメントの創出につながるよう工夫をしてまいります。

 

 

◎岩崎康夫都市整備部長 御質問十、地元問題についての(一)「新たな森」についてお答えを申し上げます。

 

 「新たな森」は、みどり再生の一環として、平成二十一年度から森を中心した県営公園として整備することとし、検討を進めてまいりました。この公園のコンセプトは、家族、友人、カップルなどの様々な世代が緑とのふれあいを通じて交流することを目指し、「ふれあいの森」といたしました。また併せて、地震などの災害の際には防災活動拠点としての機能を併せ持つ森づくりを考えております。

 

 事業地は、他の地域に比べ緑の少ない県南東部地域の十三市町の総合振興計画や緑の基本計画において、緑や公園の整備を図ると位置付けられた区域から、十六か所の候補地を選定いたしました。そのうち、大規模緑地の均衡配置、土地利用規制や避難地の必要性などを総合的に勘案し、外部有識者の意見も踏まえ、事業効果が高い春日部市大増新田地区を事業地としたところでございます。

 

 「新たな森」整備の今後の予定でございますが、対象地域の現況調査を踏まえ、平成二十四年度は五つの目指す姿の具体化に向けて、ハード、ソフト両面から整備計画の策定を行うとともに、まずは区域決定に向けて都市計画手続を進めてまいります。

 次に、市民、県民からの意見が反映できる工夫でございます。この整備計画の策定に当たりましては、その概要がまとまった段階で、意見を伺うための説明会の開催を検討してまいります。

 

 次に、五つある目指す姿をどのように具体化していくかでございます。この森づくりには、事業実施から維持管理までの各段階において広く県民に参加していただく仕組みづくりを行ってまいります。例えば植樹については、地元自治会や小中学校、高校、県内企業などに積極的に参加いただき、その後の管理もお願いしたいと考えております。また、県民や企業から寄附などを募り、実施する方策についても十分検討してまいります。この公園をみどり再生のシンボルとして、次世代に引き継ぐ森づくりを目指してまいります。

 

 

◎成田武志県土整備部長 御質問十、地元問題についての(二)県道西金野井春日部線の整備についてお答えを申し上げます。

 

 この県道は、旧庄和町と春日部市街地を結ぶ地域の幹線道路でございます。御質問の国道一六号の下柳西交差点から県道春日部松伏線の牛島交差点までの約一・一キロメートル区間は通学路に指定されておりますが、幅員が狭く、歩道が未整備となっておりますため、一部用地の取得をしております。また、区間の中ほどにある倉松川に架かる新幸松橋は、建設後七十六年が経過した老朽橋で、安全な通行に支障を来しております。地元から強い御要望をいただいておりますので、安全な道路交通の確保に向けて、まずは橋りょうの架換え工事から着手することといたしました。平成二十三年度は、この橋の構造設計を行っております。引き続き詳細設計を進め、その後、地元説明会を開催してまいります。今後とも地元の皆様の御理解、御協力をいただきながら、事業の進捗に努めてまいります。